3日間で青森をぐるっとレンタカーで巡る、ひとり旅の記録。
今回の記事では、津軽半島西側を北上して辿り着いた龍飛崎を散策し、さらに津軽半島もう一つの「崎」高野崎へ訪れた行程をご紹介いたします。
その2<高山稲荷神社参拝からメロンロードから十三湖を経て竜泊ラインドライブの記事>

(3日間の旅全体ルートマップ)
▲今回の旅をユーチューブで更新しています。
龍飛崎・青函トンネル記念館へ
青森空港を出発しておよそ5時間。津軽半島の最北端「龍飛崎」に到着しました。
まず立ち寄ったのは、道の駅みんまやに併設された 「青函トンネル記念館」 です。
青函トンネルは昭和63年(1988年)に開業した、津軽海峡を貫く鉄道トンネル。総延長53.85kmのうち23.3kmが海底という、完成当時は世界最長の海底トンネルでした。工事は昭和44年に始まり、実に24年、延べ2400万人以上もの人々が携わった壮大な国家プロジェクト。
館内には、実際に使われた掘削機械や資料、当時の現場を再現したジオラマ、海底地形を示す大型パネルなどが展示され、当時の熱気とスケールの大きさを感じさせてくれます。
さらに大スクリーンで上映される「海底に挑んだ男たち」の映像では、荒れる津軽海峡と命がけで挑んだ作業員の姿が映し出され、真剣に見入ってしまいます。
ケーブルカーで地底探検へ
ひと通り見学を終え、いよいよお待ちかねの「竜飛斜坑線ケーブルカー」へ。
館内奥の専用ホームから、地下へと続くトンネルが口を開けています。まるで探検の始まりみたいで胸が高鳴ります。
ケーブルカーは全長778m、最大傾斜14度。小さな鉱山トロッコのような車両に乗り込むと、ガタンという音とともに暗いトンネルをゆっくり下降していきます。窓の外は薄暗く少し心細いけれど、地中深く潜っていく感覚がなんともワクワク。
数分で到着した先は、実際に工事で使われた斜坑を整備した「海底体験坑道」。降り立った瞬間、ひんやりとした空気に包まれ、「本当に海の底まで来たんだ」と実感しました。
海底体験坑道を歩く
ケーブルカーは50分に1本(混雑時は30分ごとに臨時便)運行されていますが、私が乗った便はなんと貸切! ガイドさんが付きっきりで案内してくださるという贅沢な体験です。
坑道内の見学はおよそ30分。壁には当時の工事写真や資料が並び、ところどころに残る機械の跡が昭和の大工事の迫力を物語っています。照明に照らされる坑道は独特の雰囲気で、歩くだけで探検気分が盛り上がります。
そして案内されたのは、現在の新幹線が実際に走る「竜飛定点」の手前。ここはかつて「竜飛海底駅」として存在し、列車を降りた乗客が坑道を見学できた場所です。今は役割を終えていますが、実際に立ってみると当時のにぎわいが目に浮かぶようでした。
気がつけばあっという間の30分。海の底に刻まれた歴史と、技術者たちの情熱の大きさを肌で感じることができました。
龍飛崎の観光と階段国道
青函トンネル記念館を後にし、車を少し走らせて龍飛崎の先端へ。龍飛岬灯台の駐車場に車を停め、岬の散策を始めました。
しばらく坂道を下っていくと、「階段国道」と記された標識が目に飛び込んできます。そう、ここには日本で唯一──階段だけで構成された国道、国道339号線の“階段区間”があるのです。
全長388.2mに362段、標高差およそ70m。数字だけでもちょっと胸が高鳴ります。斜面に沿ってのびる長い階段そして両脇にはあじさいが風に揺れます。
息を切らしながら150段ほど降りたところで、改めてゆっくりと景色を眺めます。途中ですれ違った観光客の方も「全部下りたら帰りが大変だよ」と笑って声をかけてくれて、なるほど納得。
さて視線の先には小さな集落と行き止まりの道。そして突端の帯島の向こうには、静かに伸びる津軽海峡の水平線。
その風景を前にした瞬間、ふと太宰治の小説『津軽』の一節が脳裏をよぎりました。
「ここは本州の極地である。この部落を過ぎて道は無い。
あとは海にころげ落ちるばかりだ。路がまったく絶えているのである。
ここは本州の袋小路だ。」
どこか切なさを帯びた言葉です。実際に来るまでは漠然とその様なイメージでしたが、
今日、目の前に広がる津軽の景色は、不思議と心を軽くしてくれます。
道の終わりに立っているはずなのに、海の向こう(北海道)へ気持ちが広がっていくような…私にはそんな明るさを感じさせる場所でした。
あじさいロードを走る
龍飛崎の観光を終える頃には、時刻もちょうどよい頃合いに。ここからは津軽半島の東側を南下していきます。
一度竜泊ラインを戻り、途中から分岐して県道281号線、通称 「あじさいロード」 へ。龍飛崎から三厩駅まで続く約15kmの道のりには、なんと1万5千本ものあじさいが植えられているのです。
車を走らせると、緑の斜面に紫や青の花が次々と現れ、進むにつれて道路の両脇を埋め尽くすように咲き誇り、特に三厩駅に近づくと車窓はまるであじさいの壁に。ドライブしながら思わず何度もスピードを落として見入ってしまいました。
このあじさいは、旧三厩村の村花。地元の人々が少しずつ植え広げたものが、今では夏の名物ロードになったそうです。地域の人の思いが道いっぱいに咲き誇っていると思うと、ただの景色以上に心に残ります。
花の余韻を感じながら、美しいドライブを終え、三厩駅付近から再び海沿いの道へと車を進めます。
あじさいロードから本州最果てのお寿司を満喫
あじさいロードの花々に心を満たされたドライブを終え、少し早めの夕飯を取ることにしました。お店はすでに目星をつけてあり「寿司モード」全開。
目的地は、このあたりで評判の寿司屋「秀鮨」。みんまやマグロ(※正式名称確認中)を提供していることで知られる人気店です。不定休という情報もあったので少しドキドキしながら向かうと、この日はラッキーなことに営業中!
暖簾をくぐると、奥では団体のお客さんで賑わっており、寿司屋らしい活気が漂います。案内されたのはカウンター席。
早速「特上にぎり」を注文すると、目の前で握られていく寿司が一貫ずつ出され、その美しさに思わず見惚れてしまいます。
ひときわ印象に残ったのはやはりマグロ。身は滑らかで、ほどよい脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がります。
さらに最後に追加で四貫をお願いすると、トロよりもあっさりしながら旨味の濃い別部位を出してくださり、飽きが来ないようにと工夫されたおまかせの握り。これは嬉しい驚きでした。
カウンター越しの大将は、一見寡黙で映画の高倉健さんを思わせる職人気質。でも話してみるととても気さくで、お寿司やマグロの部位の話から魚の仕入れの苦労、さらには津軽半島の昔と今まで――興味深い話をたくさん聞かせてくれました。
一貫ごとに丁寧な仕事が光り、ネタの鮮度・シャリの温度・口の中での調和、どれをとっても「この旅で訪れてよかった」と思える満足度。お腹も心も満たされたひとときでした。
しっかりとエネルギーを補充したところで、次の目的地「高野崎散策」へと車を走らせます。
高野崎の絶景散策へ
次に向かうのは、津軽半島のもう一つの突端「高野崎」。
場所は半島の東側に張り出した岬で、車でおよそ30分ほど。時刻はすでに夕方5時を過ぎ、空が少しずつオレンジ色に染まり始めています。夕暮れの訪れとともに、旅も佳境へと向かっていくような気持ちになりました。
駐車場に着くと、目の前には広々とした芝生のキャンプ場が広がり、テントを張っている人たちの姿も見えます。こんな絶景の岬でキャンプを楽しめるなんて、ちょっと贅沢な時間です。
そこから岬の突端へ向けて歩き出すと、まずは高野崎灯台が出迎えてくれます。
さらに遊歩道を下っていくと、目に飛び込んでくるのは真っ赤に塗られた2本の橋――潮騒橋と渚橋。青い海に赤い橋が映えて、まるで絵葉書のような光景です。
岬の西側に広がる岩礁には「タコ岩」と呼ばれるひときわ巨大な丸い奇岩が姿を見せ、向こうには津軽海峡の大海原が広がります。
この日は運よく潮の具合も良く、渚橋を渡って岬の先端まで歩いて行くことができました。
足元に打ち寄せる波の音、潮風の香り、そして視界いっぱいに広がる大海原――ここまで来たんだ、と感慨深い気持ちが胸に込み上げます。
振り返ると、夕日に照らされた断崖と灯台が黄金色に輝いていて、思わずしばらく足を止めて眺めてしまいました。時間を忘れるような絶景に、ただただ「ここまで来てよかった」と感じます。
名残惜しいですが、そろそろ本日の宿へ向かう時間です。
高野崎で心に刻んだ景色を胸に、次の目的地へと車を走らせます。
▶ 次回へつづく…(蟹田レトロな宿とむつ湾フェリー乗船そして絶景海峡ラインへ)









































































