今回の旅は、「鉄道だけで北海道を目指す」をテーマに、日本海側ルートを巡る3日間のロング鉄道旅です。
新幹線や特急列車、観光列車を乗り継ぎながら北へ北へと進み、最終的には復路の出発地となる新千歳空港を目指します。
旅の2日目となる今回は、秋田駅から観光列車「リゾートしらかみ」に乗車。
日本屈指の絶景路線として知られる五能線を北上し、新青森からは北海道新幹線へ乗り換えて函館を目指します。
日本海の絶景、津軽の文化、そして北海道上陸。
今回の旅でも特に楽しみにしていた行程が始まります。

<日本海縦貫→北海道への旅 第1話>
<日本海縦貫→北海道への旅 第2話>
秋田駅から旅のスタート
秋田駅へ向かう
AM7:30
日本海縦貫から北海道への旅も2日目を迎えました。
昨日は姫路を出発し、新潟観光を経て特急いなほで秋田へ。
そして今日は、日本海沿いをさらに北上しながら北海道を目指します。
宿泊していたホテルアルファイン秋田をチェックアウトし、路線バスで秋田駅西口へ向かいました。
駅前では秋田犬のモニュメントがお出迎え。
短い滞在ではありましたが、こうした風景を見ると秋田らしさを感じます。
駅構内へ入ると、なまはげの展示や秋田らしい装飾も。
昨日到着したばかりですが、「秋田まで来たんだな」と改めて実感させてくれる光景です。
駅弁と地酒を購入
リゾートしらかみ1号の出発は8時20分。
新青森まで約5時間半の長旅となるため、まずは駅弁と旅のお供を調達します。
今回購入したのは「あきたこまち鮭弁当」。
そして秋田の地酒「高清水」のワンカップです。
長時間の列車旅だからこそ、こうした準備も旅の楽しみのひとつ。
車窓を眺めながら駅弁と地酒を味わう時間を想像すると、自然と気分も高まってきます。

リゾートしらかみ青池編成に乗車
念願の五能線へ
秋田駅2番線ホームへ上がると、列車がゆっくりと入線してきました。
そしてこちらが本日の主役。

リゾートしらかみ1号・青池編成です。
五能線は「日本屈指の絶景路線」と呼ばれ、鉄道ファンなら一度は乗ってみたい路線として知られています。
これまで私も、只見線や三陸鉄道、予土線、わたらせ渓谷鐵道、山陰本線など全国各地のローカル線を巡ってきました。
しかし五能線だけはなかなか機会がなく、「いつか乗りたい」と思い続けていた路線のひとつ。
今回、日本海側を北上して北海道を目指すという旅のテーマによって、ようやくその念願が叶いました。
リゾートしらかみとは
リゾートしらかみは秋田駅と弘前駅・青森駅を結ぶ全車指定席の観光列車です。
最大の魅力は、日本海沿いを走る五能線の絶景。
日本海、白神山地、千畳敷海岸など、変化に富んだ景色が次々と現れます。
現在運行されている編成は、
・青池編成
・橅(ブナ)編成
・くまげら編成
の3種類。
今回乗車するのは、青池編成です。
また車内では沿線案内のアナウンスが流れ、運行日によっては津軽伝統 金多豆蔵の人形芝居や津軽弁「語りべ」実演、津軽三味線の生演奏なども実施されます。
移動そのものが観光になる、それがリゾートしらかみ最大の魅力です。
車内の様子
今回予約したのは1号車9番D席。

人気の海側A席は残念ながら満席でした。
予約時は少し残念に思っていましたが、実際に乗車してみると心配は不要でした。
途中駅で乗降する方が多く、区間によっては空席も目立ちます。
展望スペースへ移動したり、空いているタイミングで海側の景色を眺めたりすることも可能でした。
また先頭車と最後尾の車両には展望スペースが設けられ、パンフレットやスタンプ、エキタグなども用意されています。
車内を歩くだけでも楽しめる観光列車です。
モバイルオーダー「ごのたび」
今回利用してみたかったのが、モバイルオーダーサービス「ごのたび」です。

スマートフォンから事前予約することで、沿線の駅で地元グルメや飲み物を受け取ることができます。
私は能代駅で受け取る「ノシロビール」を事前注文。
これから始まる五能線の絶景を眺めながら味わう地ビール。考えただけでも期待が高まります。
さて、いよいよ定刻。
約5時間に及ぶリゾートしらかみの旅が始まります。
東能代から五能線へ
八郎潟と男鹿三山を眺めながら北上
定刻どおり秋田駅を出発。
リゾートしらかみは、まず奥羽本線を北上しながら五能線の起点となる東能代駅を目指します。
秋田駅を出発して30分ほど経つと、進行方向左手には広大な田園風景が広がり、その奥には男鹿三山の姿が見えてきました。
このあたりは、かつて日本で2番目の広さを誇った湖・八郎潟が広がっていた場所です。
江戸時代以降、そして戦後の大規模干拓事業によって大部分が陸地化され、現在は大潟村を中心とした広大な農地へと姿を変えました。
見渡す限り続く田園風景はスケール感があり、どこか北海道を思わせるような景色です。
約1時間で東能代駅へ到着。
ここまでは奥羽本線を走ってきましたが、ここから先はいよいよ五能線へ入ります。
リゾートしらかみは東能代駅で進行方向を変え、日本海沿いを走る絶景路線へ。
停車時間は約7分あり、ホームへ降りて写真撮影を楽しむこともできます。
長年憧れていた五能線。
ホームに立つだけでも、これから始まる旅への期待がさらに高まってきました。
能代駅でノシロビールを受け取る
「ごのたび」で地ビールを購入
東能代駅を出発すると、次は能代駅へ到着します。
ここでは約10分ほど停車時間があります。

今回利用したモバイルオーダーサービス「ごのたび」の受け取り場所も、この能代駅。
事前予約していたノシロビールを受け取りに向かいます。
能代といえば、バスケットボールの名門・能代工業高校(現・能代科学技術高校)の街として有名です。
そのためホームには実際にシュートができるバスケットゴールが設置されています。

停車中には多くの乗客が挑戦しており、見事ゴールを決めると記念品がもらえるそうです。
列車旅の途中にこうしたイベントがあるのも面白いところです。
日本海を眺めながら飲み鉄タイム
列車へ戻り、いよいよお楽しみの時間。
購入したノシロビールはフルーティーな香りが特徴のクラフトビールで、飲みやすさの中にも個性が感じられる味わいです。
欲張って柄違いで3本も購入してしまいました。
1本880円と少し贅沢ですが、旅先だからこそ味わえる特別な一杯です。
車窓には徐々に日本海が近づき始め、ビール片手に絶景を眺める時間はまさに至福。
飲み鉄好きにはたまらない時間が流れていきます。
やがて列車はあきた白神駅へ到着。
ホームでは駅員さんたちが笑顔で手を振ってくださり、沿線ならではの温かさを感じることができました。
日本海沿いの絶景区間へ
大間越海岸
午前10時頃、秋田県最後の駅となる岩館駅へ到着。
ここから先はいよいよ青森県へ入り、五能線屈指の絶景区間が始まります。
岩館駅を出発すると、左手には日本海が広がり、線路は海岸線ぎりぎりを縫うように走っていきます。
この区間は大間越海岸と呼ばれ、五能線を代表する景勝地のひとつです。
荒々しい岩礁と青く広がる日本海。
そのすぐ脇を列車が走る光景は迫力満点で、まるで海の上を走っているかのような感覚になります。
車内のあちこちから歓声やシャッター音が聞こえ、人気区間であることを実感。
リゾートしらかみも速度を落として運転してくれるため、ゆっくり景色を楽しむことができました。
十二湖駅
列車は白神山地の玄関口・十二湖駅へ到着します。
十二湖は白神山地西部に点在する33の湖沼群の総称で、1704年の地震による山崩れで形成されたといわれています。
崩山から12の湖沼が見えたことから「十二湖」と呼ばれるようになりました。
中でも有名なのが「青池」。
インクを流し込んだような鮮やかなコバルトブルーの湖面が特徴で、世界自然遺産・白神山地を代表する観光スポットです。
池底が見えるほど透明でありながら、深い青色を保つ神秘的な景観は一度見てみたいもの。
同じく人気の沸壷の池の湧水は「青森県の名水」にも選ばれています。
この駅では外国人観光客の団体も多く下車しており、その人気の高さを実感しました。
深浦駅で列車交換
十二湖を過ぎると車内はさらに落ち着き、1号車も数人程度に。
途中から乗車する方、途中で下車する方が多く、秋田から新青森まで乗り通す利用者は意外と少ない印象です。
列車はウェスパ椿山、深浦と停車。
深浦駅では上りのリゾートしらかみとの行き違いがあり、少しホームへ降りてみました。
向かい側に停車していたのは橅(ブナ)編成。
同じリゾートしらかみでも雰囲気が異なり、見比べるのも楽しい時間です。
行合崎と千畳敷海岸
深浦を過ぎると、再び日本海の絶景区間へ。
車窓左手に見えてくるのが行合崎(ゆきあいざき)です。
岩礁が続く海岸線と透き通る海が美しく、「日本の渚百選」にも選ばれた景勝地として知られています。
晴れた日の海の青さは格別で、五能線の車窓の中でも特に印象に残る風景のひとつでした。
さらに列車は、五能線を代表する観光名所・千畳敷海岸付近を通過します。
千畳敷は1792年の地震によって隆起した岩盤が海岸沿いに広がる景勝地。
その広大な姿から「千枚の畳を敷いたようだ」と例えられたことが名前の由来です。
多くのリゾートしらかみ号では停車時間が設けられ、実際に海岸を散策することもできます。
しかし今回乗車した1号は通過。
少し残念ではありましたが、車窓からでもその雄大な景観を十分楽しむことができました。
津軽平野を横断して新青森へ
津軽三味線の生演奏
車窓右手に岩木山が姿を見せ始めた頃、列車は鰺ケ沢駅へ到着。
ここから先は日本海を離れ、津軽平野へと進路を変えていきます。
ここで朝購入していた「あきたこまち鮭弁当」と高清水のワンカップをいただくことにしました。
するとタイミングよく、3号車では津軽三味線の生演奏がスタート。
ワンカップ片手に演奏会場へ向かいます。
津軽三味線特有の力強い音色が車内に響き渡り、津軽地方へ来たことを実感させてくれました。
観光列車ならではの贅沢な時間です。
五所川原から新青森へ
まもなく到着する五所川原は、津軽地方を代表する都市のひとつ。
夏に開催される立佞武多(たちねぷた)は全国的にも有名で、高さ20メートルを超える巨大な山車が街を練り歩きます。
駅周辺には立佞武多の館もあり、多くの観光客が訪れる人気スポットです。
ここからは日常利用の乗客も増え始め、車内は観光列車らしい雰囲気から生活路線らしい空気へと変わっていきました。
リンゴ畑と岩木山を眺めながら列車は津軽平野を進み、12時35分に川部駅へ到着。
ここで五能線は終了し、再び奥羽本線へ入ります。
弘前駅でしばらく停車した後、列車は再び方向転換。
青森平野へ向けてラストスパートです。
奥羽本線へ入ると速度も上がり、これまでのローカル線区間とはまた違った雰囲気になります。
▲五能線飲み鉄の様子をユーチューブにアップロードしています♪
リゾートしらかみの旅を終えて
PM1:27。
リゾートしらかみ1号は終点・新青森駅へ到着しました。
約5時間にわたる長旅でしたが、不思議と長さを感じることはありませんでした。
次々に変わる景色。
途中駅での停車イベント。
津軽三味線の生演奏。
そしてノシロビール片手の飲み鉄タイム。
気が付けば「あっという間だった」と感じるほど充実した時間でした。
日本海沿いを走る五能線は、期待していた以上に魅力あふれる路線です。
いつかは途中下車を繰り返しながら、沿線をじっくり巡る旅もしてみたいと思います。
さて、ここから先はいよいよ北海道。
北海道新幹線へ乗り換え、青函トンネルを抜けて函館を目指します。
北海道新幹線で北海道へ
新青森駅で乗り換え
新青森駅には約30分ほどの乗り継ぎ時間がありました。
せっかくなので一度改札の外へ出て駅構内を散策してみます。
構内には青森ねぶた祭をモチーフにした大型のねぶた灯籠が展示されており、その迫力に思わず足を止めてしまいました。
リゾートしらかみで津軽地方を駆け抜けてきたばかりですが、こうした展示を見ると改めて青森までやって来たことを実感します。
しばし休憩した後、北海道新幹線のホームへ向かいます。
PM2:03。
乗車する北海道新幹線はやぶさ号が、少し遅れて新青森駅へ入線してきました。
青函トンネルを通過
先ほどまで乗車していたリゾートしらかみとは対照的に、北海道新幹線は圧倒的なスピードで津軽半島を北上していきます。
ゆったりと景色を楽しんでいた五能線から一転。
窓の外の景色がみるみる流れていく様子に、新幹線の速さを改めて実感しました。
出発からしばらくして、本州最北端の新幹線駅として知られる奥津軽いまべつ駅に停車。
ここを過ぎると、いよいよ青函トンネルへ向かいます。
トンネル区間が続く中、車内アナウンスが流れました。
どうやら青函トンネルへ突入したようです。
青函トンネルは本州と北海道を結ぶ世界有数の海底トンネル。
全長は53.85kmあり、そのうち海底部分は約23kmにも及びます。
建設のきっかけとなったのは、1954年に発生した青函連絡船「洞爺丸事故」。
多くの犠牲者を出したこの事故を契機に、本州と北海道を安全に結ぶ交通網の必要性が高まりました。
その後、長年にわたる難工事を経て1988年に開業。
現在では北海道新幹線や貨物列車が行き交う、日本を代表する重要な交通インフラとなっています。
実は前回の青森旅で、龍飛崎にある青函トンネル記念館を訪れていました。
そのため今回の通過は個人的にも非常に楽しみにしていた区間です。



北海道新幹線は通常、この区間を最高160km/hで走行。
単純計算でも20分ほどで青函トンネルを通過してしまいます。
かつて見学コースとして利用されていた旧・竜飛海底駅(現在の竜飛定点)付近も一瞬で通過。
さらに北海道側の吉岡定点付近を抜け、ついに北海道へ上陸です。
やがて北海道最初の停車駅である木古内駅へ到着。
長年憧れていた五能線の旅を終え、今度は北海道の大地へ足を踏み入れた瞬間でした。
新函館北斗から函館へ
青函トンネルを抜けると、列車は北海道南部の田園風景の中を進んでいきます。
本州とはどこか違う、ゆったりとした景色が広がり始めました。
そして約1時間で終点の新函館北斗駅へ到着です。
今回利用している長距離片道切符は札幌市内まで有効。
そのため函館駅で途中下車するためには、一旦改札を出て新函館北斗~函館間の乗車券を別途購入する必要があります。
少し手間ではありますが、長距離片道切符ならではの楽しみでもあります。
実は新幹線が少し遅れていたため接続列車が心配だったのですが、函館ライナーはしっかり接続を取って待っていてくれました。
おかげでスムーズに乗り換え完了。
こうした配慮は旅人にとって本当にありがたいものです。
函館ライナーに乗り込み、いよいよ本日の目的地・函館へ向かいます。
函館に到着
ついに北海道上陸
PM3:30。
函館ライナーに揺られること約20分。
ついに函館駅へ到着しました。
昨日の朝に姫路駅を出発してから、新幹線や特急列車、観光列車を乗り継ぎながら日本海側を北上。
そして今日、青函トンネルを抜けて無事に北海道へ上陸することができました。
五能線の絶景。ノシロビールを片手に楽しんだ飲み鉄。津軽三味線の生演奏。そして青函トンネル通過。
振り返ってみると、移動そのものが観光になる贅沢な一日だったように思います。
とはいえ、今回の旅はまだ道半ば。
ここからは異国情緒あふれる函館の街を散策し、夜には日本三大夜景として知られる函館山の景色も楽しむ予定です。
港町ならではの歴史ある街並み、函館グルメ、そして美しい夜景。
北の玄関口・函館でどのような景色と出会えるのか、今から楽しみでなりません。
次回は函館市内観光の様子をお届けしたいと思います。
次回に続く→日本海縦貫から北海道への旅④ついに北海道上陸!函館の坂道と100万ドルの夜景、朝市を巡る旅 – mars旅

























































































