🎌《青森ドライブ一人旅⑥》北の湯治場に息づく歴史──下風呂温泉郷の散策と宿泊体験

青森ドライブ一人旅🚗今回は本州最果ての湯けむり街「下風呂温泉郷」をぶらり街歩き。温泉地の歴史や、幻となった鉄道路線の遺構、そして老舗旅館で過ごす一夜の様子をお届けいたします。

これまでの記事はこちら:

(3日間の旅全体ルートマップ)

📺 今回の旅はYouTubeでも公開中!


本州最果てのレトロ温泉地巡りと歴史散歩

窓越しに漂う硫黄の香り、下風呂温泉へ

今回の青森旅でも大きな目的地としていた本州最北端・大間崎にたどり着き、そこから国道279号線(むつはまなすライン)を東へ進みます。走ること30分少々、車窓越しにかすかに硫黄の匂いが漂ってきました。

ついに「下風呂温泉郷」に到着です!国道をドライブ中に窓を閉めていても分かるこの温泉らしい香り。思わずテンションが上がります。

実はこの「しもふろ」という地名は、アイヌ語の「シュマ(岩)」「フラ(臭う)」に由来すると言われています。その名の通り、町に入るとすぐに鼻孔をくすぐる硫黄の香り。下風呂温泉は室町時代から刀傷や槍傷に効能があると知られ、硫黄分を多く含んだ白濁湯は切り傷にも良いと伝えられてきました。のちの時代には、厳寒の津軽海峡で働く漁師たちが、冷えきった身体を癒やすために通い続けた歴史もあります。本州の北の端にありながら、古くから人々の足音が絶えない貴重な温泉場なのです。


老舗旅館「まるほん旅館」でひと息

国道を逸れて集落に入ると、古き良き温泉街の雰囲気とレトロ感が漂います。
坂を少し登ったところに本日のお宿「まるほん旅館」があります。

下風呂温泉郷の中でも高台に建つその佇まいは、歴史を感じる風格がありながらもどこか落ち着ける雰囲気。もちろん源泉かけ流しの温泉も備えています。

まずは客室へ。
窓からは下風呂漁港と津軽海峡を一望。旅の相棒、大間崎で手に入れた地ビールを片手に、その景色をアテにゴクリと一杯。畳の上で寛ぐと、今日の長旅の疲れがじんわり染みてきます。


街歩きと「幻の鉄道」大間線の足跡

少し休んだら、楽しみにしていた下風呂温泉街の散策へ。


旅館の玄関を出てすぐの真っすぐな道を歩くと、西へ続く立派な高架橋が目に入ります。これは、かつて建設されながらも完成しなかった「大間鉄道(大間線)」の未成線跡。

昭和初期、大畑駅(現在は廃止された下北交通大畑線)から大間方面へ鉄道を延ばす計画が進められましたが、戦争による資材や人員不足で工事は中断。線路が敷かれることはなく、幻の鉄道計画として歴史に残りました。

その遺構のひとつ、13連アーチ橋は現在観光スポットとして整備され、街並みと津軽海峡を見下ろす足湯として開放されています。夕暮れ時には温泉街の明かりが灯り、朝には海峡から昇る朝日に照らされて漁船が一斉に港を出ていく——。そんな光景が旅情を誘います。

列車は走らなかったけれど、人々の生活の中に遺構が息づき、今も旅人を迎えてくれるのです。


下風呂温泉郷の夕暮れ散策と漁港の風景

海鮮丼とビールで乾杯!下風呂の味覚に舌鼓

未成線の高架をくぐり抜け、浜手の通りへ出てきました。国道から一本山側に入ったこの通りこそ、現在の下風呂温泉の中心街。メインとなるホテルや商店、飲食店が軒を連ね、静かな町に小さな賑わいを感じます。

ちょうど良い時間なので、ここで夕食をいただくことにしました。立ち寄ったのは地元でも評判の「あさの食堂」さん。店内には漁港町らしい温かさが漂い、海鮮丼をはじめとしたメニューがずらり。

まずはビールで乾いた喉を潤し、選んだのは「ウニとイクラの二色丼」。大粒で新鮮なウニの濃厚な甘みと、ぷちぷち弾けるイクラの食感。その両方がご飯の上で出会う贅沢は、もう言葉にならないほど。ビールもつい進んでしまいます。🍺


漁港に並ぶイカ釣り船と幻の「烏賊様レース」

食後は夕暮れに染まる下風呂漁港へと足を伸ばしました。

港には多くの漁船が並び、特に目を引くのは船上に吊り下げられた無数のガラス球。

これはイカ釣り漁船のライトで、ここが全国的にも有名なイカ漁の町であることを物語っています。

シーズンには生け簀で泳ぐイカを競わせる「元祖烏賊様レース」というユニークなイベントも行われていたそうです(現在は不漁のため休止中とのこと)。

運が良ければ、夜には海の沖合に漁火が揺らめき、幻想的な光景に出会えるかもしれません。

漁港からふと振り返ると、先ほど歩いてきた未成線の橋梁や駅舎跡が海側に映え、港の風景と重なって見えます。列車が通ることのなかった鉄道遺構と、今も息づく漁師町の営み。その対比がなんとも不思議で、心を惹かれる光景でした。


若返りの坂とレトロな宿看板、夕暮れの温泉街散策

再び町歩きに戻り、今度は山側へ。未成線の高架をくぐった先に「若返りの坂」と呼ばれる坂道があり、ゆるやかに登っていくと、どこか懐かしい雰囲気の温泉街が広がります。

立ち並ぶレトロな宿の縦看板の文字や雰囲気からは昭和感が漂い、そこに刻まれた時間の重みを感じさせます。かつては共同浴場を中心に活気を見せたエリアだったのでしょう。今では廃業した宿もあり、少し寂しさも漂いますが、それがまた旅情を深めてくれます。

日没が迫る津軽海峡を背景に、坂道に並ぶ古びた宿の姿を眺めていると、下風呂温泉郷が歩んできた歴史の厚みを実感せずにはいられません。ノスタルジーに胸を満たされながら時計を見ると、時刻はすでに午後6時40分。夕暮れの散策はあっという間に過ぎ去りました。


下風呂温泉の老舗 まるほん旅館で源泉かけ流し温泉を満喫

さあ、いよいよ本日のメインイベント。宿に戻り、楽しみにしていた源泉かけ流しの温泉へと向かうことにしましょう。

宿に戻ると、まずは散歩途中で見つけた商店で購入したハイボールを一杯。窓辺に腰掛けながら、眼下に広がる下風呂漁港と津軽海峡を眺めつつ、夕暮れを切り取るタイムラプス撮影の準備を整えます。
刻一刻と色を変えていく海と空。その風景をカメラに任せ、いよいよお楽しみの温泉へと向かいました。

下風呂温泉郷には「大湯系」「新湯系」「浜湯系」と3つの源泉があり、今回宿泊したまるほん旅館の内湯は「大湯系」。源泉温度はおよそ66度と高く、湯船に身を沈めた瞬間から体の芯までじんわりと熱が届いてきます。
熱めのお湯にしばらく浸かり、火照った身体を一度クールダウン。再び湯に浸かる――そんな繰り返しを楽しめるのも、かけ流し温泉ならではの贅沢。

湯上がり後は全身がポカポカで、思わず畳にゴロンと横になってしまいました。

気がつけば時計の針は夜の10時を回っており、すっかり夢の中へ。カメラを確認すると、夕暮れから夜に変わる海峡のタイムラプスもしっかり収まっていました。


静かな温泉街に包まれながら、心地よい眠りに落ちる――下風呂温泉で過ごす夜は、旅人にとって最高のご褒美です。


翌朝は7時半に起床。ぐっすり眠ったおかげで体も気分もスッキリ!
窓の外には朝日に照らされた津軽海峡と漁港の景色が広がり、旅の続きを後押ししてくれるようでした。

青森旅はまだまだ続きます。次なる目的地へ、出発🚗

次回へつづく…(恐山から陸奥湾ドライブへの記事


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